Ruby 2.7.0-preview1 リリース

Ruby 2.7シリーズの最初のプレビュー版である、Ruby 2.7.0-preview1をリリースします。

プレビュー版は、年末の正式リリースに向け、新たな機能を試し、フィードバックを集めるために提供されています。 Ruby 2.7.0-preview1では、多くの新しい機能やパフォーマンスの改善が含まれています。 その一部を以下に紹介します。

Compaction GC

断片化したメモリをデフラグするCompaction GCが導入されました。

一部のマルチスレッドなRubyプログラムを長期間動かし、マーク&スイープ型GCを何度も実行していると、メモリが断片化してメモリ使用量の増大や性能の劣化を招くことが知られています。

Ruby 2.7ではGC.compact というメソッドを導入し、ヒープをコンパクションすることが出来るようになります。ヒープ内の生存しているオブジェクトを他のページに移動し、不要なページを解放できるようになるとともに、ヒープをCoW (Copy on Write) フレンドリーにすることが出来ます。 #15626

Pattern Matching [Experimental]

関数型言語で広く使われているパターンマッチという機能が実験的に導入されました。 渡されたオブジェクトの構造がパターンと一致するかどうかを調べ、一致した場合にその値を変数に代入するといったことができるようになります。 #14912

case JSON.parse('{...}', symbolize_names: true)
in {name: "Alice", children: [{name: "Bob", age: age}]}
  p age
  ...
end

詳細については Pattern matching - New feature in Ruby 2.7 を参照してください。

REPL improvement

Ruby に添付されている REPL (Read-Eval-Print-Loop) である irb で、複数行編集がサポートされました。これは reline という readline 互換のピュア Ruby 実装によるものです。 また、rdoc 連携も提供されるようになっています。irb 内で、クラス、モジュール、メソッドのリファレンスをその場で確認できるようになりました。 #14683, #14787, #14918 これに加え、binding.irbで表示される周辺のコードや、コアクラスのオブジェクトのinspect結果に色がつくようになっています。

主要な新機能

  • メソッド参照演算子 .: が試験的に導入されました。#12125, #13581

  • デフォルトのブロックの仮引数として番号指定パラメータが試験的に導入されました。#4475

  • 開始値省略範囲式が試験的に導入されました。これは終了値省略範囲式ほど有用ではないと思われますが、しかし DSL のような目的には役立つかもしれません。 #14799

    ary[..3]  # identical to ary[0..3]
    rel.where(sales: ..100)
    
  • Enumerable#tally が追加されました。各要素の出現回数を数えます。

    ["a", "b", "c", "b"].tally
    #=> {"a"=>1, "b"=>2, "c"=>1}
    

パフォーマンスの改善

  • JIT [Experimental]

    • 最適化の際の仮定が無効とされた場合、JIT 化されていたコードがより最適化度が低いコードに再コンパイルされるようになりました。

    • あるメソッドが「純粋」であると判定された場合、メソッドのインライン化が行われるようになりました。この最適化はまだ実験的であり、また多数のメソッドが今はまだ「純粋」と判定されないままです。

    • --jit-min-calls オプションのデフォルト値が 5 から 10,000 に変更されました。

    • --jit-max-cache オプションのデフォルト値が 1,000 から 100 に変更されました。

その他の注目すべき 2.6 からの変更点

  • ブロックを渡すメソッド呼び出し中の、ブロックを伴わない Proc.newproc が警告されるようになりました。

  • ブロックを渡すメソッド呼び出し中の、ブロックを伴わない lambda はエラーとなるようになりました。

  • Unicode および Emoji のバージョンが 11.0.0 から 12.0.0 になりました。[Feature #15321]

  • Unicode のバージョンが 12.1.0 となり、新元号「令和」を表す合字 U+32FF がサポートされました。[Feature #15195]

  • Date.jisx0301, Date#jisx0301, および Date.parse で非公式に新元号に仮対応しました。これは JIS X 0301 の新しい版で正式な仕様が決定されるまでの暫定的なものです。[Feature #15742]

  • Ruby のビルドに C99 に対応したコンパイラが必要になりました。[Misc #15347]

なお、こうした変更により、Ruby 2.6.0 以降では 1727 個のファイルに変更が加えられ、76022 行の追加と 60286 行の削除が行われました !

Ruby 2.7 でプログラミングをお楽しみください!

ダウンロード

  • https://cache.ruby-lang.org/pub/ruby/2.7/ruby-2.7.0-preview1.tar.gz

    SIZE:   16021286 bytes
    SHA1:   2fbecf42b03a9d4391b81de42caec7fa497747cf
    SHA256: c44500af4a4a0c78a0b4d891272523f28e21176cf9bc1cc108977c5f270eaec2
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  • https://cache.ruby-lang.org/pub/ruby/2.7/ruby-2.7.0-preview1.zip

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    SHA1:   7488346fa8e58203a38158752d03c8be6b1da65b
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  • https://cache.ruby-lang.org/pub/ruby/2.7/ruby-2.7.0-preview1.tar.bz2

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  • https://cache.ruby-lang.org/pub/ruby/2.7/ruby-2.7.0-preview1.tar.xz

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Ruby とは

Rubyはまつもとゆきひろ (Matz) によって1993年に開発が始められ、今もオープンソースソフトウェアとして開発が続けられています。Rubyは様々なプラットフォームで動き、世界中で、特にWebアプリケーション開発のために使われています。